双眼鏡の選び方と使い方
(1)双眼鏡の選び方
双眼鏡は精密機械ですが、その割に部品数は少なく構造は単純です。ですから外見は同じような形をしていても、その性能や耐久性はピンからキリまであります。もし、よい双眼鏡を買えば、それは一生ものです。事実、30年保証の双眼鏡というものも売られています。(ドイツ製)国産の同じようなものの3倍くらいの値段がします。
でも、よい性能が一生使えると思ったら安い買い物でしょう。
双眼鏡の性能には次のようなものがあります。
・倍率:双眼鏡のよしあしは倍率できまると思っているひとが多いようですが、それはおおきな間違いです。例えば100倍の双眼鏡を手持ちでのぞくと、身体のゆれも100倍にするので、見ている物がゆれてはっきりしません。また、視界の直径も10倍の双眼鏡の1/10になってしまいどこを見ているかわからなくなります。ですから一般には6〜12倍程度の物を選びます。
また、ズームは倍率が変えられて便利なようですが、倍率が高いほうは先ほどの理由で使えず、視野が狭かったり像がゆがんだりして見にくいという欠点の方が目立つので買わない方が賢明です。
高倍率やズームを宣伝文句にした粗悪品をつかまされないように!
・大きさ:倍率と対物レンズの直径は「8×20」のように表示されています。これは倍率8倍、対物レンズの直径20mmという意味です。家庭用として便利なのは倍率8倍前後で口径25mm以下のものです。
レンズの直径が大きいほど暗い場所でよく見えるようになりますが、そのかわり大きく重くなります。重くなるとスポーツ観戦などで長時間持っているのが苦痛になります。私は20mmを使っていますが、これくらいだと、軽量でポケットに入ってしまうので便利です。
・品質:悪い双眼鏡は左右で見ている方向が違ったり、倍率が違ったりするものがあります。そのような物は見ていて非常に疲れます。有名なカメラメーカーの製品ならば一応信用できます。
・めがねをかけている人はめがねをかけたまま実際にのぞいて、視野が狭くならないかどうか確かめてください。特に「ハイアイ」とか「ハイアイポイント」という表示があるものは、レンズから目を離しても見やすいということです。写真のように見口のゴムを折り返して見てみるとわかります。
(2)双眼鏡の使い方
まず左右のピントを調整します。「+・・0・・−」というような表示の視度調整リングを探します。遠くの景色を表示がないほうで見て、ピント合わせのダイアルを回しピントをあわせます。次に反対の目(視度調整リングのある方)で見て視度調整リングを回しピントを合わせます。両目でみて目が疲れなければ調整完了です。左右の調整が終われば対象を見てピントを合わせて観察します。
(3)手入れ
使い終わったら汚れを落としビニル袋に乾燥剤を入れて保存します。レンズは傷がついたりコーティングがはがれるのでなるべく拭かないようにしましょう。したがってレンズを汚さないように取扱いに注意します。レンズが汚れてどうしても拭かなければならないときは脱脂綿にアルコ−ルをふくませ力を入れずに汚れを落とします。
(4)変わった使いかた
私はよく旅行に双眼鏡を持って行きますが、そのほかにもいろいろ使い方があります。
@都会から離れると星空がきれいです。双眼鏡は明るい星雲、星団を見るのには望遠鏡より使いやすいでしょう。もっともその星がどこにあるか知らないと見えないと思われるかもしれませんが、地面に寝て星のように点でなく広がりを持って光っているところをみてみましょう。
Aコンサートやスポーツ観戦に持っていくと楽しいと思います。選手や歌手の表情がよく見えます。
B博物館にいったとき展示物が遠くて細かいところが見えないとき、双眼鏡を使いましょう。このとき最短合焦距離、つまりどれくらい近くが見られるかということが問題になります。これがなるべく近い物の方がよいことになります。
C名所旧跡の建物の高いところや遠いところをみるのに便利です。たとえば五重の塔の先端のかざりや、近づけないお寺の仏像などです。