スモークハウスの作り方
 基本的な構造は、煙を充満した空間をつくることです。冷薫の場合、温度が上がらないのでダンボールでもOKです。私はスモークサーモンを作る関係で一斗缶を2個重ねています。前面に材料を出し入れする窓を開け、下にチップの窓を開けています。窓は燻煙しているときはベニヤでふたをいしています。工作が苦手な人は市販品もありますが、下のような構造にすると簡単なので、トライしてみてください。
6、応用
(1)スモークサーモン:荒巻鮭(あらまきさけ)を3枚におろし水につけ塩抜きします。乾燥させたあとスモークウッドを1日1本で4日間スモークします。
(2)スモークエッグ:ゆでたまごに軽く塩を振って一晩置いてから20分くらい熱くんします。
(3)スモークチキン:モモ肉に軽く塩・胡椒をふり2時間くらいおいて120度で20〜30分熱くんします。
(4)スモークタン:牛タンを上記の方法で冷くんしますが、塩漬けの時に@塩をなじみやすくするため、フォークなどを使って穴をたくさんあける。Aワインを入れる。ことに注意して下さい。くん製が終わったら、柔らかくするため80℃のお湯(沸騰させると味が抜けてしまう。)で1時間〜1時間半(大きさによって)ゆでます。皮をむいて薄く切って食べます。
4、作り方(これはあくまで基本です。)
(1)材料の用意
 魚は腹を出しよく洗っておきます。通常1キログラムまでの大きさが扱いやすいので適当な大きさに切ります。
(2)塩漬けにする。材料の重さの3.5%の塩、同じく1%の砂糖と1%のこしょう、そのほか好みによりにんにく、月桂樹の葉、しょうが、ナツメグなどを少々。例えば1キログラムの肉だと塩が35グラム、砂糖と胡椒が10グラムになります。塩加減が味を決めるので正確に図ります。これらをよく混ぜて材料にすりこみます。そしてビニール袋に入れ、空気を出して3日〜1週間保存します。途中で肉をひっくり返しまんべんなく塩がまわるようにします。塩漬けが長い分には悪影響はあまりありませんので忙しいときは塩漬けのまま放って置いても構いません。また、冬季であれば冷蔵庫でなく常温保存でも構いません。
(3)塩抜き。
 塩漬けが終わったら水の中につけて塩を抜きます。材料の端を少し切りとり、焼いて食べてみてほとんど塩味がしなければOKです。気温や塩分により2時間〜8時間位かかりますのでときどき水を変えてやります。一度塩漬けしたものを塩抜きするのは無駄なようですが、均一に塩をいきわたらせるためと、材料の中の腐りやすい成分を外に出すために必要な作業です。その後つるしやすいように穴を開けてひもを通します。魚の場合は皮にもひもを通さないと肉が切れて落下します。
(4)乾燥。塩抜きが終わった材料を一晩外に吊るして乾燥させます。時間がない場合は扇風機で2〜4時間ぐらい風をあてて乾かします。乾燥することにより材料の中の水分が減り細菌の繁殖がしにくくなります。
(5)くん煙。(冷くん法)スモークハウスの中に材料をつるしスモークウッドに火を付けて煙をかけます。石油缶位の大きさならスモークウッドをたてに四分の一にしたものでも充分な煙の量が得られるのでのこぎりで切って下さい。(熱くん法)中華なべにスモークウッドを粉にしたものか、木材チップをひとにぎりいれてその上にもち焼き網をおきます。強火で加熱し煙が出てきたら中火にして材料を網のうえに置き金属製のボールをかぶせます。30分くらいでできあがります。換気扇を回しておけば煙が充満することはないでしょう。
(6)住宅地では夜にくん煙するといいでしょう。1日1回一本燃やして4日間でできあがりです。火が消えているときは冬は日陰の寒いところ。暖かくなってきたら冷蔵庫のなかにしまいます。
(7)くん煙が終わって2〜3日してからのほうが香りがまろやかになっておいしく食べられます。
5、今回の実習
今回はベーコンを作ります。普通のベーコンは豚のバラ肉を使い温くん法で作りますが、実習では温度管理の簡単な冷くん法でつくります。作り方は上記のとおりです。
3、材料
(1)肉か魚ただし、薫製に適したものと、適さないものがあります。初めて作るには魚では鮭、肉では豚肉がいいと思います。
(2)塩と香辛料:塩も香辛料も殺菌性があり保存に一役買っています。
(3)チップ:木材を細かく砕いたものです。普通、炭などで火をおこし、そこにチップをくべて煙を出させますが、今回は手軽にやるために「スモークウッド」というものを使います。釣り道具屋、アウトドアショップ、DIYショップなどで売っています。木材の粉を棒状に固めたものでいったん火をつければ線香のように燃えて数時間煙を出し続けます。チップは初心者には取扱がむずかしいので熱くん法以外には使わないほうがよいでしょう。
 煙の香りは木の種類によって変わり、中にはくん製に適していない種類もあります。よく知られているのは桜ですがその他にはリンゴ、くるみ、ヒッコリーなどがあります。最初は「ナラ」が無難でしょう。「ナラ」は肉でも魚でも合い、クセが強くありません。よく知られている桜は魚に使うと酸味が強すぎうまくありません。慣れてきたら、いろいろな種類・ブレンドに挑戦しましょう。中には、コーヒーの出しガラ、鉛筆の削りかす、紅茶、乾燥したハーブなどを混ぜて燃やすといいという人もいます。
(4)スモークハウス:ようするに材料を煙でいぶす箱のことです。私は石油缶を使っています。缶の下に空気を取り入れる小さい穴を開け、上面を切り取ります。そして材料をつるす穴を開けたベニヤ板でふたをし、底には火が消えないように灰をしいておきます。
2、くん製にはどのような種類があるのか
くん製を作る方法はおおきく分けて3つあります。
(1)冷くん法
 通常17℃以下の温度で長時間、煙をかける方法。時間がかかりますが保存期間は長くなります。私の作ったもので2年間かびも生えていません。低温で作業するので日本では秋から春の気温が低い時期に限られます。
(2)熱くん法
 80℃〜140℃位の温度で煙をかける方法。普通ガスコンロの上で、煙とともに蒸し焼きにするようなかんじです。煙をかける時間も短く通常は30分前後です。すぐできるので便利ですが、保存性はありませんので「煙の香りをつけるだけ」と考えたほうがよいでしょう。しかし、くん製の中では良い香りがつき、おいしく作ることができます。
(3)温くん法
 30〜80℃位で煙をかける方法。特徴は冷くん法と熱くん法の中間です。ただし、温度管理がむずかしくなります。
(4)そのほか工業的に作られる方法に液くん法があります。これはくん製の臭いのする液につけて熱風で乾燥させたものです。しかし、本来の煙を使うくん製ではなく工業的に大量生産のための方法であるため、くん製の特徴である保存性が弱いので保存料や殺菌剤などが使われています。また、味も劣るため調味料も使われます。一般に店で売っているハム・ソーセージの中には液くんをしたものがたくさんあります。

1、くん製って何だ
 皆さんはハムとかベーコンはご存知ですか?食べると少し煙の臭いがするでしょう。くん製は、このように肉とか魚などを煙の中にさらした食品のことを言います。なぜこのようなことをするかというと、煙の中の成分に殺菌作用があり、くさりにくくすることと、よいかおりをつける効果があります。

簡単なくん製の作り方