ピンホールカメラの作り方と撮影法

1.ピンホールカメラとは
 日本語では「針穴写真機」と言います。普通のカメラと違うところは、レンズがなく代わりに小さな穴が開いていることです。そのために構造が大変簡単で小中学生でも自作が可能です。

2.今回作ったカメラ

材料
・本体となる大きめの空き缶。今回は煎餅の空き缶(深さ110mm)を利用しました。
・ピンホールをあける、金属板。ビールの空き缶を利用。
・黒のラッカースプレー。
・印画紙(フィルムの代わり)

作り方

・缶のふたに印画紙の位置をガムテープでマークする。












・缶の胴体の中心に大きめの穴をあける。














・迷光防止のため缶の内側をラッカースプレーで黒くぬる。

・ビール缶で4cm角の板をいくつか作る。






















・その板に先のとがった物で穴をあける。あけたら紙ヤスリでバリをとる。一度でちょうど良い穴が開くことはまれなので、いくつか作って良い物を選ぶ。
3.撮影方法
・暗室内でふたの内側に印画紙をセロテープで貼る。








・ピンホールに黒いビニルテープを貼る。(これがシャッターの代わり)

・ふたを閉め、ふたの周りをガムテープで貼り光が漏れないようにする。


・撮りたい物にカメラを向け動かないように固定する。私はカメラの底に三脚のねじをつけました。このねじはホームセンターに行けばあります。普通のねじでなく「インチねじ」と言われる物で、サイズは「1/4W」です。





・ストップウォッチで時間を計り、シャッターをあけます。




・私の場合、晴れの日の昼間で30秒が適当でした。





・暗室に戻り、中の印画紙を現像、定着、水洗いをします。そうすると白黒が反転したネガ像が得られます。ネガと新しい印画紙を膜面同士重ね合わせ、ネガの方から引き伸ばし機の光を当て、現像すれば密着焼きの完成です。



・簡単にはネガ像をスキャナで読み込み反転すればポジになります。

4.最適な穴の大きさ
 今回ピンホールの直径はどの程度がよいかを調べるためいろいろな大きさの穴で撮影してみました。以下にその作例を示します。
 印画紙は富士ブロFM−3です。上から0.5mm、0.3mm、0.1mmです。
以上3点の作例を見ると0.3mmが一番解像していることがわかります。
 実際には適当な穴の大きさがわからなかったので何回も実験を繰り返して最適な値を見つけました。ただ、焦点距離110mmの時の値であり、そのほかの焦点距離との関係はまだ調べていません。
*ピンホールカメラの場合レンズのように焦点を結ばないので焦点距離といういい方は正確ではありませんが便宜上使いました。





















5.その他
 作例を見るとよくわかるのですが周辺部の減光が非常に大きくなっています。周辺部に行くほど光が通る穴の大きさが、見かけ上小さくなるためです。
 今回の実験でのデータは以下の条件による物です。
・焦点距離110mm
・穴の大きさ0.3mm
・使用印画紙富士ブロFM−3 大キャビネ版(13cm×18cm)



6.終わりに

 ピンホールカメラは昔から実験してみようと思いながら今日まできてしまいました。ところが実際に撮影してみると、その画質の良さにびっくりしました。レンズに比べ解像度は劣るので、なるべく大きい印画紙を使い作品を作れば、十分鑑賞に堪える物ができると思います。また、ピンホールカメラの特徴を利用して新しい表現も可能でしょう。